DIYに欠かせない基本工具といえば、ネジ締めや穴あけが効率良くできる電動ドリルです。家具の組み立てにも活躍するので、DIYデビューを機に電動ドリルを購入した方、これから購入する方もいることでしょう。
そこで今回は、電動ドリルの基礎知識から、基本的な使い方や手順にスポットを当てて初心者に分かりやすく解説していきます。また、ネジ締めや穴あけ作業のコツについても詳しくご紹介します。
電動ドリル(ドリルドライバー)の特徴と用途
電動ドリルとは、正しくは「ドリルドライバー」と呼ばれる身近な電動工具の一つで、先端工具のビットを付け替えることで、主にネジ締め・穴あけの2つの機能を使い分けることができます。
家具の組み立てをはじめ、家庭での木工DIYでは、ネジを使った取り付けや下穴をあけるなどの作業を要しますが、手動で全てを行うには時間も手間もかかってしまいます。そこで、こうした作業を大幅に効率良く、かつ楽にしてくれるのが電動ドリルというわけです。
ごくちょっとした作業であればミニリューター(ルーター)でも代用できますが、やはりパワーや使い勝手を考えると電動ドリルを用意したいところでしょう。
インパクトドライバーとの違い
電動ドリルと見た目がよく似たインパクトドライバーは、初心者にとっては混同されがちで、電動ドリルとしばしば一括りにされます。
インパクトドライバーとは、回転に打撃(インパクト)を加えた電動ドライバーで、とにかく高出力で強力なパワーが特徴です。
太いビスやボルトなどの、強力かつ素早い締め付けを得意としており、機械整備や本格的な大工仕事といったパワーが必要な作業に適しています。穴あけもできますが、ビス止めのほうが特化されています。
うまく扱うには慣れが必要なため、インパクトドライバーよりも電動ドリルのほうが初心者のビギナー向きでしょう。
また、値段も電動ドリルと比べると高価なので、安い価格帯の電動ドリルのほうが敷居も低く手にしやすいと言えます。
電動ドリルの各機能と使い方
電動ドリルには、ネジ締めや穴あけを効率良く行うためのさまざまな機能が搭載されています。モデルによっても搭載機能は変わってきますが、基本的な各機能と使い方を知っておきましょう。
電源スイッチ(トリガー)
電動ドリルを握った際、人差し指の位置にあたるトリガー部分で、スイッチの引き加減でドリルの回転速度を調節することができます。
正逆転切替スイッチ
ドリルの回転方向を、正回転・逆回転に切り替えられるスイッチです。ネジを締める際は正回転、緩める際は逆回転を使用します。
スイッチを中央に切り替えれば、ストッパーの役割も果たしてくれます。
ドリルを握った際、親指に触れる位置にあります。
ドリルチャック
先端工具となるビットを差し込む部分で、爪状のチャックで挟み込むことでビットを装着します。ドライバービットや穴あけ用のドリル刃など、さまざまな種類・大きさの先端工具を取り付けることができます。
チャックの種類には、チャックキー(ハンドル)で締めこむキー式と、チャックキーのいらないキーレス式があります。
主流はキーレス式、スリーブを回すことでチャックを開閉することができ、素早いビットの交換が可能です。
クラッチ(トルク調整)
締め付ける力の強さ(トルク)を調節する機能で、このダイヤル部分を回転させることで材料に合わせたトルクの調節ができます。ダイヤルには番号がふられていて、数値が大きいほど高トルクになります。
設定したトルクに達するとクラッチがかかり、空回りすることで余計な潜り込みやネジの破損を防止します。
なお、穴あけ作業をする際は、ダイヤルをドリルマークに合わせて行います。
変速スイッチ(速度切替)
一般的な電動ドリルには、本体上部にスピードコントロールができる変速スイッチが付いています。「HIGH/LOW」や「1/2」など、高速と低速の2段階に切り替えが可能です。
高速は回転が速い一方で力は弱く、低速であれば回転は遅いが力は強いです。
バッテリー
USBの充電式バッテリーを電源としているコードレスタイプは、持ち手の下部を着脱することで充電を行います。
また、充電式の他に、コンセントから給電するコード式の電動ドリルもあります。
電動ドリルの使い方
ここからは、電動ドリルを正しく使うためのビットの装着方法から、ネジ締め・穴あけ作業の手順など、基本的な使用方法について詳しく解説していきます。初心者に向けた扱い方のコツも見ていきますので、参考にされてください。
ビットの装着方法
まずは、電動ドリルのビットの取り付け方・付け替え方法についてやり方の手順を見ていきます。
- まず、安全にビットを装着するため、正逆転スイッチを中央に切り替えてストッパーをかけるか、バッテリーを外します。
- バッテリー側を自身の腹につけて、根元を持ったままチャック部を反時計回りに回し、チャックの爪を開きます。
- 開いたチャックにビットを差し込み、チャックを時計回りに回して爪を閉めます。カチカチ鳴るところまでしっかり回してください。
- ビットを引っ張ってしっかり固定されているか確認しましょう。
- 装着ができたら、最後に回転させてビットがブレていないか確認してください。
ネジ締め作業の手順と使い方
次に、電動ドリルでネジを締める手順と使い方のコツについて解説していきます。
- ネジの頭下を軽くつまみ、ネジの+とドライバーの+をしっかり合わせます。
ネジとドライバーの+がブレていると、ドライバーの力がうまく伝わりません。 - ネジとドリルが一直線になるように構え、真っ直ぐ押し込むように低速で回していきます。
- ネジが自立したらつまんでいた指を離し、再度押し込むように締めこんでいきます。
押し込む力が弱いと、ネジ溝からズレてネジをなめてしまう(溝がつぶれる)ので注意してください。 - ネジを緩めたい時は、スイッチを逆回転に切り替えます。
初心者の場合、ネジがぐらつきやすく、なかなかうまく締め込めないということも少なくありません。そのようなときは、あらかじめドリルで下穴をあけておくとネジが入りやすくなります。
穴あけ作業の手順と使い方
続いて、電動ドリルで穴をあける手順と使い方のコツを解説していきます。
- クラッチを「ドリルモード」に切り替えます。
- 穴をあけたいところにビットを押し当て、最初は低速で、徐々に最大速度になるようにトリガーを引きます。
また、木材などに貫通する穴を空ける場合は、材料の下に「捨て板」を用意し当て板にします。当て板を添えることで、貫通した際の抜き終わりのバリが軽減され、きれいに穴をあけることができます。
クランプで固定し、しっかり密着させて行うことがポイントです。
ネジ締めと穴あけ以外にできること
ネジ締めや穴あけなど、電動ドリルの使い方について解説してきましたが、実は電動ドリルには、先端工具を付け替えることでちょっとした研削・研磨の作業にも活用することができます。
では、電動ドリルに取り付ける研削・研磨工具の具体的な種類について見ていきましょう。
- ホールソー
hole saw(穴をあけるノコギリ)という名前の通り、木板などに大きめの穴をあけることができる先端工具です。 - ワイヤーブラシ
ブラシがワイヤーでできた研削用の先端工具で、金属の錆落としやクリーニングに使うことができます。 - 軸付砥石
木材や金属の表面を研削・研磨する先端工具で、加工用途に合わせてさまざまな形状・素材・粒度があります。 - ポリッシャーバフ
仕上げ用の研磨工具で、金属や家具、車の艶出し・クリーニングなどに活用できます。軸付きでないものが多いので、アタッチメントを併用して電動ドリルに取り付けます。
ただし、電動ドリルでの研削・研磨は、あくまでちょっとした補助的なものであるということを踏まえたうえで使用してください。
なお、上記の先端工具はホームセンターはもちろん、100均でも手軽に購入することができます。
電動ドリルを使う際の注意点
電動工具の中でも、初心者が扱うには敷居が低い電動ドリルですが、扱い方を間違えると思わぬ事故につながる可能性もあります。以下に電動ドリルを安全に使用するための注意点をまとめました。
- クランプやバイスなどで材料を固定して行う
- 手袋をはめて使用しない
- 用途が違う作業には使用しない
電動ドリルで材料を加工する際、手だけでの固定方法はぐらつきやすく危険です。不安定な作業をしないためにも、特に初心者はクランプやバイスといった固定工具を活用するようにしましょう。
電動ドリルの回転部分に手袋が巻き込まれ、ケガをするケースも少なくありません。これは電動ドリルだけに限らず、電動工具全般に共通する注意点と言えるので、手袋をはめての使用は避けましょう。
電動ドリルは、ビットを付け替えることでさまざまな用途に活用できますが、装着できない工具を無理に付けたり、用途に対応していない扱い方をすると、危険な事故につながります。用途に適さない作業には使用しないようにしましょう。
まとめ
電動ドリルのネジ締め・穴あけなどの詳しい使い方について解説してきました。字面では伝わりにくいこともあると思うので、心配であればYoutubeなどで実際の使い方を目で見て確認すると安心です。安心・安全にDIYを楽しむためにも、扱い方は事前によくチェックしておきましょう。