マルチツールといえば、1台で切断・剥離・研削といった多様な作業ができる便利な電動工具です。使用頻度の高い切断作業では、シーンによっては金属切断をメインに使用したいという方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、金属切断に適したマルチツールブレードの規格や材質の選び方、そしてマキタ・ボッシュが展開するおすすめの金属用替刃ブレードをご紹介していきます。
金属切断に適したマルチツールブレードの選び方
マルチツールを万能にするブレード替刃には、多様な作業をこなす豊富な種類が充実していますが、切断するにもどんな材料をメインに作業するのか、用途に応じたブレード選びが大切です。
では、金属切断に適したブレードの基本的な選び方について、ブレード規格・材質に焦点を当てて解説していきましょう。
ブレード規格の選び方
マルチツールのブレード規格には大きく2つの種類があり、
- 規格の種類によって切断性能が変わる
- ブレードの取り付け構造が異なる(本体と替刃の適合がある)
といったややこしい性質があります。
そのため、金属切断の用途に合わせた規格選びはもちろん、手持ちの機種に対応した規格を選ぶことが求められます。
|規格の種類と特徴
では、マルチツールブレードの2つの規格、OISとスターロックの特徴について見ていきましょう。
- OIS
- スターロック
マルチツール初期のスタンダードな取り付け構造で、接合部に穴があり平らな形状をしています。初期のブレード規格なので、マルチツールを取り扱うメーカーの多くがこの規格に対応しています。
OISの後継となる新しいブレード規格です。名前の通り接合部が星形で、3Dの立体構造になっていることから、出力を効率良くブレードに伝達できる仕組みになっています。そのため、OIS規格のブレードよりも高出力の作業に耐えられる規格と言えます。
主要メーカーはすでにOISからの置き換えを進めていて、マルチツールの今後の主流となる規格と言えるでしょう。
|スターロック規格の3つのグレード
さらにスターロックは、用途ごとに3つのグレードに分けられます。
- スターロック
- スターロックプラス
- スターロックマックス
最下位に位置するベーシックな規格で、全てのスターロックタイプに加え、後方互換性からOIS規格にも取り付けることが可能です。ブレードの種類もシリーズの中で最も豊富なことが特徴です。
木材をメインに扱うベーシックなDIY作業などに適した規格です。
ブレードの長さがスターロックよりも長く、振幅の自由度を高くしたことから、従来では難しい作業を素早くこなすハイパワーな中間規格です。
2×4(ツーバイフォー)材をはじめ、金属切断であればビスの切断などに適した規格です。
スターロックの中でも最上位に位置する規格で、より長いブレードで圧倒的なスピード切断を誇るウルトラパワーを備えます。
鉄筋切断など、金属切断をメインに行う作業であれば、スターロックマックスがおすすめでしょう。
|パワーがあれば良いというわけではない
マルチツールのスターロックシリーズでは、グレードごとに3つの規格に分かれてはいるものの、「パワーがあれば良い」という考えで安直に選ぶことはおすすめしません。
というのも、用途に合わない使い方は本体の機械自体に負荷がかかるわけで、木材メインならスターロック、金属メインならスターロックマックスとあくまで用途に応じた選び方が望まれます。
ブレードの材質の選び方
ブレードの材質には、主に3つの種類が使われています。当然、ブレードの材質が硬くなるほど金属などの硬い対象物の切断が可能になります。
材質にも適性があるため、切断対象に合わせたブレード材質を選ぶと良いでしょう。
ブレード材質の種類
- 超硬
- バイメタル
- 炭素工具鋼
3つの材質の中でも最も硬度が高く粘り強い素材で、ビスやボルトの面切断など金属用ブレードに使用されています。金属切断がメインならこちらがおすすめされます。
超硬の次に高い高度を備える材質で、銅管や鋼管の面切断をはじめ、硬質フローリング材や非金属、釘入り木材といった切断に適しています。汎用性の高さが特徴で、金属用はもちろん、木材&金属の兼用ブレードにも多く使用されています。
主に木材用ブレードに使用される材質で、無垢木材や断熱材、石膏ボードなどの切断に適しています。
金属切断におすすめするマルチツールブレード
ここからは、木材&金属用と金属用に分けて、おすすめのマルチブレードモデルを主要人気メーカーのマキタ・ボッシュから絞ってご紹介していきます。金属メインであれば金属用、木材の他に、釘を切るシーンが少しでもあるなら、木材&金属用のブレードを選ぶと良いでしょう。
なお、今回ご紹介しているモデルはいずれもスターロックシリーズになります。
【木材&金属用】
- マキタ A-63797 カットソー TMA047 BIM(1枚入り)2,581円(税込)
- マキタ A-63806 カットソー開口 TMA048 BIM(1枚入り)2,675円(税込)
- ボッシュ AIZ32APB カットソー 1,833円(税込)
- ボッシュ AII65APB カットソー開口 1,941円(税込)
刃幅32mm、刃長50mmのバイメタル材質のマキタのカットソーです。切断能力は木材50mm、樹脂50mmで、用途は硬質フローリング材やアルミ、硬質樹脂ポケットなどの切断です。
マキタのカットソー開口タイプで、刃幅65mm、刃長40mm、切断能力は木材10mm、樹脂10mmのバイメタル材質となっています。
用途は木工やプラスチックパネルなどの切断です。
刃幅32mm、刃長50mm、材質はバイメタルで、切断能力は木材50mm、樹脂50mmとなっています。木材・石膏ボードポケット、釘・銅管切断が可能です。
刃幅65mm、刃長40mmのバイメタル材質で、切断能力は木材40mm、樹脂40mm。用途は木材・石膏ボード広い開口、釘・銅管切断などです。
【金属用】
- マキタ A-65171 カットソー TMA061HM(1枚入り) 3,234円(税込)
- ボッシュ AIZ32ATN カットソー 2,642円(税込)
刃幅32mm、刃長40mmの超硬材質のカットソーで、切断能力は木材30mm、樹脂30mm。釘やビス、ステンレスグラスファイバーの面切断などが可能です。
刃幅32mm、刃長40mmの超硬材質のカットソーで、切断能力は木材30mm、樹脂30mm、上記のマキタのものと同じ形状・材質です。ステンレス・ビス・釘・金属全般の切断が可能です。
金属切断におすすめするスターロックマックス対応のマルチツール
続いて、金属切断用のスターロックマックス対応の人気のマルチツールをご紹介していきます。
マキタ 18V 充電式マルチツール TM52D 23,562円~43,307円(税込)
TM51Dに続くマキタの3代目マルチツールで、最大振動数20000min-1のハイパワーブラシレスモータを搭載しています。従来機よりも振動角度が3.6°にアップしているため、より効率的な高速切断が可能です。従来機と比較すると、およそ2倍の切断スピードを備えています。
また、従来機よりも握りやすい細径グリップに改良され、さらに薄暗い現場でも作業ができるLEDライトも搭載されています。
口コミレビューも高評価が多く、Youtubeでも紹介されている人気のマキタモデルと言えます。
なお、OIS規格には対応していないので注意してください。
ボッシュ GMF50-36 PROFESSIONA 60,500円(税込)
ボッシュのマルチツールの中でもトップクラスの性能を誇るスターロックマックス対応モデルです。頑丈な金属パーツによって耐久性にも優れ、よりタフな重負荷作業にも耐えることができます。
振動角度はマキタの上記モデルと同様の3.6°で、振幅の広さからより効率の良い切断作業をすることが可能です。
また、スナップイン機能で先端工具の交換が快適に行えることも魅力です。
なお、こちらもOIS規格には対応していないので、替刃を購入する際は注意してください。
まとめ
これまでに、金属切断に適したマルチツールブレードの選び方から、金属切断におすすめのブレードモデル・マルチツールをご紹介してきました。
金属切断では、
・スターロックマックスが最適
・材質はバイメタルか超硬
・木材を切断するシーンが少しでもあるなら木材&金属用を選ぶ
以上のポイントを踏まえてブレードとマルチツール選びをするようにしましょう。