マルチツールでコンクリートの切断や研磨をすることはできる?

マルチツールでコンクリートの切断や研磨をすることはできる?

マルチツールといえば、種類豊富な先端の替刃を取り替えるだけで、さまざまな現場作業をこなせる万能な電動工具です。そんな多機能性から、中にはコンクリートの切断や研磨にも使えないだろうか、と考える方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、マルチツールでコンクリートなどの硬い素材も切断・研磨ができるのかについて解説していきます。

マルチツールでできることとは?

まず、マルチツールの大きな特徴といえば、先端工具である替刃が用途・材質ごとに充実し、取り替えるだけで幅広い現場作業をこなすことができる点です。木工だけでなく、金属やタイル、プラスチックといったあらゆる材質に対応できるのは、マルチツールならではの魅力でしょう。
では、具体的にどのような用途・材質に使えるのか、以下で詳しく見ていきましょう。

▶切断

マルチツールで最も使用頻度が高いのが切断作業です。特にマルチツールの切断用ブレードは取り回しが良く、細かい窓抜き・切り抜きなども器用にこなせます。替刃には主に、木材用、木材&金属用、金属用、モルタル・セメント・FRP用などがあり、

  • 木材
  • 石膏ボード
  • 金属管
  • 塩ビ管
  • 断熱材

といった幅広い材質の切断が可能です。

▶剥離

スクレーパータイプの剥離用替刃を取り付ければ、

  • タイル
  • シーリング材
  • 接着剤

などの剥離作業をすることができます。特に劣化して硬くなったコーキングの場合、手作業で剥がすには時間も手間もかかりますから、簡単に剥離できるマルチツールは重宝されています。

▶研削・研磨

研磨用工具であるサンディングパッドとサンドペーパーを取り付ければ、研削や研磨をすることもできます。サンドペーパーにもさまざまなサイズ・粒度があり、用途に応じた使い分けをすることが可能です。

マルチツールでコンクリートの切断・研磨はできる?

マルチツールではあらゆる材質に対応した作業ができることが分かりましたが、コンクリートの切断・研磨はできるのでしょうか。
結論から言うと、マルチツールではコンクリートの切断・研磨をすることができません。というのも、マルチツールの替刃にはコンクリート用のブレードがありませんし、そもそも本体機器自体にコンクリートを切断できるパワーが備わっていません。

そのため、マルチツールで無理にコンクリートを切断しようとしても、替刃がすぐにダメになってしまいますし、本体自体に負荷がかかり故障する場合もあるでしょう。

スターロックマックスでもコンクリートの切断はできない?

では、スターロックマックス規格のマルチツールでもコンクリートの切断は難しいのでしょうか。
スターロックマックス(STARLOCK MAX)とは、取り付け規格であるスターロックシステムの中でも最上位のパワーを誇るブレード規格です。ボッシュやマキタなどの主要メーカーで展開され、圧倒的なパワーと切断能力で、弾性シーリングの除去や鉄筋切断といった従来では難しい切断作業をこなすことができます。
しかしながら、スターロックマックスでもやはりコンクリートのような硬い材質までは想定されていないため、切断することはできません。そのため、最上位の規格だからといって無理にコンクリートを切断しようとするのは避けましょう。

多孔質コンクリートの溝切りなら可能

マルチツールでは一般的なコンクリートの切断はできませんが、モルタル・セメント・FRP用の替刃を使えば、多孔質コンクリートの溝部分の削ぎ取り・溝切りは可能です。
多孔質コンクリートとは、ポーラスコンクリートとも呼ばれ、細骨材を使用しないで製造する空隙が多いコンクリートです。その他、壁面タイルの目地材やセメント接合繊維板の切り込み作業などであれば対応することができます。

コンクリートの切断にはディスクグラインダーが必要

結局のところ、コンクリートを切断・研磨するのであれば、ディスクグラインダーやコンクリートカッター、レシプロソーが必要になります。
特にディスクグラインダーはコンクリートの切断・研磨には定番の電動工具で、先端工具を取り換えることで、コンクリートをはじめ、金属やステンレス、石材、レンガブロックなどの切断・研磨にも活躍します。電動工具を増やすことをためらう方もいるかもしれませんが、コンクリートの切断や研磨をする機会があるのであれば、ディスクグラインダーなどのコンクリート切断用の電動工具を購入するのがおすすめでしょう。