インパクトドライバーとインパクトレンチの違い・用途を徹底解説

電動工具が馴染みのない方にとって、インパクトドライバーとインパクトレンチの違いがよく分からないという方も多いでしょう。どちらも締め付け用に使う専用工具だからこそ、両者をどう使い分けるべきか疑問に思う方も少なくないはずです。

そこで今回は、インパクトドライバーとインパクトレンチの違いから、それぞれの特徴や使い分けについて詳しく解説していきます。

インパクトドライバーとインパクトレンチの違い

インパクトドライバーとインパクトレンチは、どちらも建設現場やDIYなどで幅広く活躍する電動工具で、特にインパクトドライバーに関してはなくてはならない必須工具であることは間違いありません。
いずれも固定材を締め付けるための工具ですが、両者には厳密にどのような違いがあるのでしょうか。

▶インパクトドライバーとは

インパクトドライバーとは、主にネジやボルトの締め付けをメイン用途とする電動工具です。回転方向にインパクト(打撃)を与える仕組みから、強力かつ素早い締め付けをすることができるので、

  • 建築現場
  • 大型家具の組み立て
  • 本格的なDIY

などの作業シーンで重宝されている必須アイテムです。本来はプロの現場で使われることの多い工具でしたが、近年ではDIYの流行に伴い、一般の家庭でも盛んに使用されています。

また、先端工具のビットやアタッチメントを付け替えることで、穴あけや研磨といった幅広い作業シーンにも活用することができます。
ただ、なんでもできる万能工具と思われがちですが、あくまでメインはネジやボルトの締め付けであり、穴あけや研磨は補助的なものとして活用するようにしましょう。

▶インパクトレンチとは

インパクトレンチとは、六角ボルトやナットなどの大きい固定材の締緩作業に使われる電動工具です。回転にインパクトを与える構造は同じですが、インパクトドライバーよりも強いトルクに加え、取り付け部に負荷に耐えうる角ドライブを備えています。
このような特徴から、

  • 建設・建築現場
  • 車のタイヤ交換
  • 大型家具の組み立て
  • 機械のメンテナンス

といったパワーが必要な作業シーンで使用されます。

インパクトドライバーをレンチと兼用する方法は?

インパクトレンチはインパクトドライバーに比べ、トルクが大きく、取り付け部の耐久性にも優れていることが分かりました。しかし実は、先端工具が付け替えられるインパクトドライバーならではの特徴から、レンチとして兼用することも可能です。

インパクトドライバーをレンチとして利用するためには、ソケットビットというアタッチメントが必要で、これを先端に装着することで大きいボルトやナットの締め付けにも対応することができます。

ただし、やはりソケットビットを使っても、インパクトレンチの完全な代用にはなり得ません。というのも、インパクトドライバーのビットやアタッチメントは折れやすく、大きな負荷に耐えうる耐久性がないからです。
そのため、大きな負荷がかかる作業ではインパクトレンチを使うのが良いでしょう。

●ソケットビットを選ぶ際のポイント

ソケットビット選びで最も大切なことは、軸折れしにくい強度を選ぶことです。
というのも、前述したように、ボルトやナットを締め付ける際、ソケットには高い負荷がかかります。つまり、インパクトドライバーでは6.35mmの六角軸に大きな負荷がかかるわけで、どうしても軸が折れやすくなります。そのため、軸折れしにくい「軸圧入式」タイプを選ぶなど、耐久性に着目することが大切です。

また、ソケットビットでは「差込角」と「差込口」の寸法を必ず確認することも大切です。サイズや形状がそれぞれ異なるため、用途に合わせて選ぶようにしましょう。

インパクトレンチをドライバーとして使うことはできる?

では反対に、インパクトレンチをインパクトドライバーとして使用することはできるのでしょうか。結論から言うと、変換アダプターとなるアタッチメントを使うことで、インパクトレンチでもドライバーとして兼用できるものがあります。

変換アダプターとなるアタッチメントは、「ソケットアンビル」や「インパクトビットアダプター」「シャンクアダプター」などと呼ばれ、主に、SK11や高儀、TRUSCO、アストロプロダクツといったメーカーから販売されています。

ただし、全てのインパクトレンチが兼用できるわけではないため、アタッチメントを購入する場合は対応機種をかならず確認するようにしましょう。

インパクトドライバーで車のタイヤ交換は可能?

車のタイヤ交換というと、プロの現場ではインパクトレンチを使用するのが一般的ですが、家庭で車のタイヤ交換をする場合、手元にあるインパクトドライバーで代用することは可能なのでしょうか。
結論から言うと、軽自動車であれば一定の条件を満たす場合に限り、インパクトドライバーでも代用することができます。しかし、推奨するものではないため、あくまで自己責任で行うようにしてください。

|タイヤ交換に必要な一定の条件

では、軽自動車のタイヤ交換に求められる一定の条件について見ていきましょう。

▶電圧は18Vであること

18Vよりも低い14.4Vなどの電圧の場合、ホイールナットを取り外すにはパワーが足りないことが多く、仮に取り外せても十分な締め付けが行えないなどの恐れがあります。ナットの締め付けが弱いと、道路での重大な事故にもつながりかねないため、電圧は18Vあるもの使うようにしてください。

▶締め付けトルクが100~105N・mであること

自動車のホイールナットは、決められた規定トルクで締め付ける必要があります。
軽自動車の場合は約80~100N・mといわれているため、100~105N・m程度のトルクを備えるインパクトドライバーであれば、ナットを安全に締め付けることができます。

ただし、乗車している車によっては異なる場合があるため、自身の車に付属している取扱説明書で規定の締め付けトルクを必ずチェックするのが良いでしょう。

▶トルクレンチで確認すること

トルクレンチとは、ナットがきちんと規定トルクで締め付けられているのかを数値で確認できる測定機器です。ホイールナットは締め付けがきつすぎても緩すぎても良くないため、締め付け後は必ずトルクレンチで確認するようにしてください。

最後に

インパクトドライバーとインパクトレンチは、どちらも締め付け専用の電動工具ではあるものの、パワーと耐久性の違いから用途も異なります。そのため、特に道路の安全に関わる車のホイールナットの締め付けは、本来であればインパクトレンチで行うのが望ましいでしょう。
今回の記事を参考に、両者の違いをよく理解し、DIYや現場で使い分けていきましょう。