電動工具の中でも最もよく使われる電動ドリル(ドリルドライバー)とインパクトドライバー。見た目がよく似ていることから、初心者にとっては混同しがちで、具体的にどのような違いがあるのか分からない方もいることでしょう。実は、両者の用途には明確な違いがあり、それぞれの特徴・構造などを知っておくことでより質の高い効率的なDIYをすることができます。
そこで今回は、似ているようで違う電動ドリルとインパクトドライバーの違いについて解説していきます。
電動ドリル(ドリルドライバー)とは?
電動ドリル(ドリルドライバー)とは、先端工具を回転させることで、穴あけやネジ締めといった作業ができるメジャーな電動工具のひとつです。手動では時間がかかるようなことも、電動ドリルがあれば格段に作業効率がアップしますし、なにより作業が楽になります。特に、インパクトドライバーとは違い打撃が加わらないため、バリや木割れのない繊細な穴あけを得意としています。
DIY初心者でも扱いやすいので、エントリー工具として人気があります。
電動ドリルでは主に、
- 家具の組み立て
- ちょっとしたDIY
などのシーンで活躍します。
インパクトドライバーとは?
インパクトドライバーとは、回転に打撃(インパクト)の機能を備えた電動工具です。ビットの回転方向に打撃を加える仕組みから、よりパワフルで強力なネジやボルトの締め付けを得意とします。特にパワーを必要とする現場作業では、何十本ものビスを素早く打つ技術が求められため、プロにはなくてはならない必須工具として重宝されてます。また、ドリルビットを装着すれば穴あけもできますが、打撃が強力なため繊細な素材への穴あけには不向きでしょう。
インパクトドライバーが活躍するシーンをまとめると、
- 大型家具の組み立て
- パワーが必要な建設現場・現場作業
- 本格的なDIY
などが挙げられます。
電動ドリルとインパクトドライバーの違い
電動ドリルとインパクトドライバーがどんな工具なのかについて見てきたところで、さらに具体的な両者の違いを解説していきましょう。
▶メイン用途の違い
先端工具を回転させる電動ドリルでは、
- 木材やデリケートな素材への穴あけ
- ネジの下穴あけ
- 短い・細いネジの締め付け
を主な用途とする一方で、回転+打撃の機能を兼ねるインパクトドライバーでは、
- 長く・太いネジの締め付け
- 硬い素材へのネジ締め
- ボルトの締め付け
をメイン用途としています。
前述したように、両者それぞれの構造上の仕組みから、用途の違いをよく理解しておきましょう。
▶先端工具の固定方法の違い
電動ドリルの場合、ビットを取り付ける部分は「ドリルチャック」と呼ばれ、先端のツメを開閉させることでビットを装着します。ドリルチャックでは丸軸タイプのビットはもちろん、六角軸タイプのビットの取り付けも可能です。
一方、インパクトドライバーの場合、先端工具の固定方法は「スリーブ式」となっており、ワンタッチで取り付けられる反面、6.35mmの六角軸タイプのビットしか装着できません。
▶クラッチ・トルク調節機能の有無
クラッチは締め付けトルクを調節するもので、電動ドリル特有の機能です。
電動ドリルには、穴あけ用の「ドリルモード」と「ネジ締めモード」があり、ネジ締めモードに設定するとトルククラッチが機能します。
一方、インパクトドライバーにはクラッチ機能はありません。
電動ドリルとインパクトドライバーの部位構造の違い
次に、電動ドリルとインパクトドライバーの部位構造の違いについて詳しく見ていきましょう。
|電動ドリルの部位と機能
- ドリルチャック
- トリガー
- 速度切り替えレバー
- 正転逆転切り替えスイッチ
- モード切り替えリング
- 締め付け力切り替えダイヤル
ビットを装着する3つ爪式の固定部分で、ツメを開閉することでビットを取り付けます。ドリルチャックには、チャックハンドルのいらない手締め式の「キーレスチャック式」と「キー付きチャック式」があります。
近年ではキーレスチャック式が主流となっています。
トリガーを引くことでスイッチが入ります。トリガーの引き加減で回転数が調節できます。
切り替えレバーを「1」にスライドさせると低速、「2」にスライドさせると高速回転に切り替えることができます。高トルクの場合は低速、低トルクの場合は高速で使用します。
右回転と左回転の切り替えをすることができます。
「ドリルモード(穴あけ)」と「ネジ締めモード」の切り替えをすることができます。また、機種によっては回転に打撃を加えた「振動ドリルモード」があることもあります。
ネジ締めモードの場合は、締め付け力切り替えダイヤルによってトルクを調節することができます。ダイヤルには番号がふられており、番号が大きくなるほどトルクが強くなります。
|インパクトドライバーの部位と機能
- スリーブ
- トリガー
- 正転逆転切り替えスイッチ
- 打撃力切り替えスイッチ
ビットを取り付ける固定部位で、電動ドリルの付け方とは違い、ワンタッチでビットを装着することができます。スリーブを手前に引きながらビットを差し込み固定します。
トリガーを引くことでビットが回転します。
右回転と左回転の切り替えをすることができます。
打撃力を切り替えるためのスイッチで、さまざまな作業シーンに応じてパワーを調節することができます。
電動ドリルとインパクトドライバー、どっちを選ぶ?
これまで電動ドリルとインパクトドライバーの特徴と違いを解説してきましたが、最終的にはどちらをどう選べば良いのでしょうか。結局、どちらを選ぶかはそれぞれの特徴と使い分けを理解した選び方が大切になってきます。
▶エントリーモデルの電動ドリル
やはり初心者向けのエントリーモデルであれば、電動ドリルがおすすめされます。簡単な家具の組み立てやちょっとしたDIYなら、電動ドリルが一台あれば十分に事足りますし、なによりインパクトドライバーのような打撃もないため、手も疲れにくく、力のない子どもや女性でも扱いやすいでしょう。
また、壊れやすい繊細な素材への作業をするのであれば、電動ドリルが適しています。
▶本格派のインパクトドライバー
パワーやスピーディさを求める作業に使うのであれば、やはりインパクトドライバーがおすすめです。特にプロの現場や本格的なDIYで作業をするなら言うまでもありません。初心者の場合、回転に打撃を加えた衝撃により、うまく扱うには慣れが必要ですが、デビュー時にすでに本格的なDIYを視野に入れているのであれば、インパクトドライバーを購入するのもありでしょう。